戦略と中期経営計画

戦略を策定するプロセスというのは、結構悩ましい問題が多い。

経営品質の報告書を読むと、戦略を策定するプロセスとして中期経営計画を活用している、という組織が多い。中計で戦略を検討することは一つの考え方であり、否定するものではない。しかし、気になる言葉がある。それは、中計の次年度は予算である」という言葉である。

「次年度は予算」というのは、文字通り中期経営計画の次年度の主に損益計画値は、そのまま翌年の予算数値に反映させるということである。

計画値の次年度を予算数値にしたいという気持ちはわからないではない。予算値に結びつけることで、中期経営計画を自体への全員のコミット面とをky放火する意味がある。また、中期と短期のバランスをとった戦略と実行計画を計画するという狙いもあるだろう。しかし、弊害も認識すべきである。

弊害の一つは、3年後よりも達成義務のある次年度に皆の意識が集中することである。すると、その延長線上で3年後を捉えるような発想にとらわれる。

発想を変えることで高い目標を達成する方策を考えるということにつながらない。あるいは根拠のない高い目標を最終年度に数字だけ置き、方策は次年度検討といった中期経営計画を描きかねない。

結果的に、どのような価値を生み出すか、という創造性を発揮する重要なプロセスが、現在の延長線上で計画数値をおいて目標を示すという「作業」に陥ってしまう。

中期経営計画の重要な点は、自分たちのアイデアを数字で描くということである。戦略を練り、目標を達成するための方策を検討し、組織の未来をどう形づくるのかを数値でシミュレーションしながら、実行性、実現性を高めていくことである。

しかし、「次年度は予算」では、発想の転換ができなくなり、中期経営計画を創る目的を見失いかねない・

組織によっては、中計を作成しておりて、改めて年間予算を作成するなど、重複としかいいようのない業務をしている場合もある。改めて予算編成を行うのであれば、中期経営計画は、最終年度の数字以外は、アイデアを実現するための行動計画の議論に集中すべきではないだろうか。

行動計画の実行を通じて、本当に3年後に目標達成できるのか、議論を尽くすことを第一優先でやっていくべきであろう。

日本的経営のよさの一つは長期的視点での経営である。「次年度は予算」という発想は、短期的視点での経営を助長させ、日本企業の強みを弱めかねない。

コメント

人気の投稿