権威より創発

 私がCo-produceしている社会価値創造塾で、MITメディアラボ所長の伊藤穣一さんのお話を伺う機会があった。古い話であるが、私が会社に入社してまもなく、会社の後援会でネグロポンテさんのお話を聞いた。彼はMITでメディアラボを立ち上げたばかり。英語堪能なボストン大学出の同僚が主に質問をしてそれを聞いてメディアラボというのは魅力的だなと感じていた。その4代目?の所長としてメディアラボを活性化したのが伊藤穣一さんである。
 彼の話のポイントは、イノベーションのコストがインターネットの世界で驚くほどかからなくなった。そのため、資本力のある大企業が必ずしもイノベーションを生み出すのではなくなった。むしろ、大きな企業は、様々な問題があって、これからはイノベーションの主役になりにくいのではないかという見解であった。
 9プリンシプルズという彼の共著に詳細な内容は記述されているが、加速した未来で勝ち残るためには、権威で事業を回すことを放棄し、創発を促すことが一つのプリンシプルとして提言されている。創発と言う言葉は、ミンツバーグが提示した創発の戦略という言葉で初めて耳にした。主旨は変わっていないが、生態系はすべて脳のコントロールというよりもそれぞれが相互に作用する中で物事が発生しているといった生態系と組織のアナロジーをベースに、専門性を放棄し、専門性を超えたところにイノベーションが生まれることを合成生物学を基に説明している。
 企業のリーダーが方向性と戦略を決め、PDCAを回して進めていくといのではどうも世の変化やスピードについていけない。現場にエンパワーし、失敗(失敗のコストも下がっている)から学び成功させていくような状態で組織経営を行う必要がある。GEという巨大企業もスタートアップ企業に学び、組織マネジメントを創発型へのシフトを加速させている。
 これは、まさに前回のエンゲージメントと同期する話である。創発型へのシフトは人のエンゲージメントを高める。
 上が決め、下が従う、という構造はスピードが増して、変化に対応するには重要とみられているが、そうではないようだ。1回の変化で、しかも経営トップが答えを持っていればいいのだが、絶えず、変化しつづけるにはそれでは、十分でないし、いつもトップが答えを持っているとは限らない。
そういう面で、JHQCでいう理想の姿は、組織の理想の姿をしめし、価値観を大事にして組織づくりをするということを大事にする必要がある。


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