川越胃腸病院の話を聞いて

2月18日に、パシフィコ横浜で経営品質報告会において川越胃腸病院 須藤秀一常務理事の講演のコーディネータを担当しました。話の主旨は、環境変化に伴い病院でも長期的視野に建った経営戦略が必要であり、理念・方針に基づき、職員満足と患者様満足、社会満足の三つを追求すべく、好循環スパイラル(職員満足→職員モラルアップ→患者満足→病院の社会的評価アップ→患者数増加→病院収益アップ→社会満足→昇給・ベア消費総原資額アップ→職員満足)を地道に着実に回しているという紹介でした。特に職員満足では、経済的満足とやりがいといった心理的満足、誇りといった社会的満足のバランスを取ることを念頭に入れてマネジメントされているそうです。そして職員の成長を通じて組織の成熟度が上がり組織IQが高まることを狙っています。22の病院と共に行った職員満足度調査では、4.43と断トツに高い数字を出したそうです。患者様満足度工場のためには須藤さんがサポートする形で医療サービス対応事務局定例会議を開催し、患者様情報の一元管理を行い、患者様の声に対する対応とフィードバックを行い、各種委員会活動の調整や院内医療サービス活動の調整・指導を行っているそうです。また、推進のためにいくつかの種類の第三者評価を活用し、組織マネジメントの定着を図っています。第三者評価と外来患者満足度の上昇が見事につながっていました。
こうした活動はたいていの場合、医師を中心とした抵抗勢力があるように聞いていましたので、質問すると、確かに始めはあったそうです。須藤さんは日の当たらない事務職の地位を向上させ、あなたたちも事務というプロフェッショナルであるとCS経営の推進や改善を積極的にやらせたそうです。そうしているうちに看護師やコメディカルの人が協力するようになり、医師も取り残されないように協力をし始めたそうです。一度行動に移すと結果が出ますので、協力をすることに積極的になっていったそうです。
また推進のためのリーダーのあり方を聞いたところ、やはり院長の一人ひとりのスタッフのやりがいを高めたい、成長させたいという思いがとても強く、従って、100人以上では一人ひとりがわからなくなるといって、それ以上採用しない(同じように質を重んじていくらはやっていても40床のベッド数を増やさなかったそうです)という方針を立てています。そして年2回職員全員とだいたい2時間程度面談し、自分の考えを伝え、職員の関心ごとを理解しています。日常はとても忙しいため、一言ふたことの対話しかできませんが、それでも声がけを心がけているそうです。
このような活動を10年、20年というスパンで実践してきたからこそ、今があるという須藤さんの言葉に感動した1日でした。

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匿名 さんのコメント…
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