P4P研究会第三回定例会に出席して

医療の質に基づく支払い(P4P)研究会の定例会に出席してきました。医療の質に応じた支払いという点で、アメリカやイギリスで実施されている内容を研究し、日本での導入について研究するというものですが、規制改革会議の「規制改革推進のための3か年計画(改定)(平成20年3月25日閣議決定)」で今年度から研究開始するということで注目を集めています。
定例会では、これまでも議論があったように、P4Pは医療費の削減を目的としても結果的には増大するのではないか、といった議論もありました。アメリカでは、医療費削減という視点で研究された面もあるようですが、実際には標準的な医療ができていないという点で質の悪い病院をなくそうという運用であり、短期的にはインセンティブだけが追加されますので、確かに医療費は増えるように働くでしょう。
日本でも、3ヵ年計画や昨年出された第2次答申を見る限り、「医療費増大の抑制」とはいっていても「医療費の削減」とは言っていないようです。最近の世論では、社会保障費は必要な部分を充当しなければならないという方向になっているのではないかと思います。その議論の中で、どの程度費用を支払うのかという点で、質も含めた議論をしていく面で参考になることも多いだろうと思います。
またアメリカでは、単年度のパフォーマンスよりも、継続的な質の改善に対する評価ができるようにすべきだということで、質データをレポートすることに対するインセンティブや、質の継続的な改善に対するインセンティブを検討するようになっているとのことでした。イギリスは、医療費を1.5倍にする際に、単に医療費を増大するだけではなく、質を向上させるために医療費を増大させるという意図があったのでしょう。アメリカもイギリスも自分たちの医療制度や文化の中で、質を高めるにはどういったインセンティブが重要であるかを考え、導入し、経過を見て更に仕組みの改善をしています。
 日本では質の指標の定義が難しいようです。どの領域の質を高めるのかといった視点を検討し、その領域で医療の質のデータを取り、院内で改善活動を行い、その結果をレポートすることに対してインセンティブを考えていくといいな、と思います。

コメント

人気の投稿