看護の質と経営の質

先日、JHQCで4月の研究会があった。

今回の講演者は、日本看護協会の坂本すが会長である。
会長のお話は、経験からJHQCの考えを紹介しているかのようだった。

たとえば、ポール・ミルグロムとジョン・ロバーツの組織の経済学から
の引用で「組織は実現しようとする目標を持っているのではなく、
インセンティブシステムに反応した利己的な人々の戦略的相互作用の
結果である」とし、組織の目標・方針を提示することの重要性を 説いた。

これは、まさに、JHQCが組織プロフィールでまず問いかける
「あなたの組織の考える理想の姿は何ですか、
顧客、従業員、社会の 視点で考えてください」が
いかに組織にとって重要であるかを経験的に 理解されているのだと感じた。

看護の質を高めるためには、看護師のやりたい看護をやれる環境を
作ることが重要であるプロだからいろいろな看護の理想がある。
しかし、 組織にいる以上、組織としての理想を提示し、その方向性の中で
やりたい看護のできる環境を作ことが重要とされた。

平均在院日数短縮が看護部門が初めて経営を意識した初めであるとし、
その影響もあり、病棟管理が看護師の仕事となり、ケア管理が多少
弱まっているのではないか、一人ひとりのケアを見ている人が必要である
とお話しされていた。

やりたい看護のできる環境のためには標準化されたケアを他の部門を
ばかにしない互いの専門性を発揮して、楽しく働き意見交換のできる
チームを作っていくことが大事であり、そうした風土作りを行うことが
管理職の役割である。 そのためには、患者さんへの心の教育を
しっかり行い、人材の研鑽を 行うことが必要である。

そのためには、自分で考え行動できるように
たこつぼである部門から脱却し、他部門や外部と交わり、その視点を
理解し、医療者同士が目線を同じにすることが重要であるとお話された。

これはカテゴリー1の経営幹部のリーダーシップで求める理想をつたえ、
腹落ちさせる とりくみ、カテゴリー6のプロセスマネジメントと
カテゴリー5の人と組織づくりの視点 にかかわることである。

最後に、365日医師は患者をみるが、24時間みるのナースという言葉が
印象的であった。看護師は病院のいろいろな問題が見えている。
だから 気づいたらそれを改善できる環境を整えるのは病院にとって、
大事なこと。

ただ会長がお話されたように、私たちが一番わかっていると他部門の
目線を共感しないうちは、成功しない。看護師以外の人も理想の
看護・医療の在り方をそれぞれの視点でもっており、それを実現したいと
考えている。

全体最適、価値前提での考え方の重要性を改めて 教えていただいた。
もう少し論点を絞って改めて話を伺いたいと思った。

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