エンゲージメント

 ポジティブ心理学で有名なセリグマン教授は、幸福についてウェルビーイングという言葉を使って以下ような主旨の話をしている。
 ポジティブな感情だけでは、ウェルビーイングにはなれない。ウェルビーイングには、ポジティブな感情以外にも、人間関係、自分自身よりも大きな目的を果たすことから生まれる充実、短期的・長期的両方の達成、エンゲージメントから成り立っている。

 この中ではエンゲージメントという言葉がわかりにくい。エンゲージリングから想像できるのは、約束とか誓約という意味が入っている可能性があることくらいか。正直申し上げて定義もまだ定着していないようであるが、組織と個人の関係でエンゲージメントを考えると、個々の成長を意識し、
互いに配慮しながら、組織の中で自らの持てる能力以上のものを発揮するべく自らの時間や知識・ノウハウを投資しようとするマインドに従業員がなるよう組織と個人が互いに誓約しているかのような状態をエンゲージメントが高いとされているようである。

 会社とか組織という部分を取ると、自分の成長、仲間への気遣い、いつも一期一会で1日1日を自らの能力以上の目標にフルパワーでチャレンジしている状態そのものということになる。するとフロー状態と比較的似ている定義になるような気がする。

 最近では、従業員満足度を測定するのではなく、従業員のエンゲージメントの程度を測定することが重要と意見が見られるようになった。経営を評価するプログラムである日本経営品質賞や病院向けのJHQCの基準では、従業員の現状を把握するという視点が含まれており、多くの組織で従業員満足度を活用している。

 しかし、従業員満足(ES)という言葉が誤解を生んでいるケースがある。不満を解消して満足度を高めても満足をすると何もチャレンジしなくなる。それは現状の給料や仕事に満足することを目標としているからである。本来ビジョンや夢に向かっている人は現状に甘んじない。また今の給料の不満だけで仕事を見ていない。将来の夢の達成や高い処遇に向けていまは自分の時間投資している感覚である。

 ES調査では不満な経営者やエンゲージメントやウェルビーイングの調査を行ってはどうだろうか。例えば、
あなたは毎日、患者のため、顧客のために自らの能力を超えてでも対応したいと思って仕事をしていますか?
あなたは、顧客・患者のみならず、例え考え方が違っても組織の仲間を気遣っていますか?
あなたは、組織から、組織の仲間から十分なサポートを受けていると感じますか?
あなたは、チームで仕事をすることで自分の能力以上の成果を出していると感じていますか?
といったことを確認する。
調査以外の件は改めて。

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