ピーター・センゲの話の続き


ピーターセンゲ教授のお話は続きます。私は、先生の話を以下のように解釈しました。
 持続可能性という言葉が社会的に使われるようになりました。様々な利害関係者がいろいろな考えを持ってことにあたり、問題を解決するには、クロスセクターによる共同作業で、システム志向で考えていく必要があります。。
 活動を進めるための財団を設立し、プロジェクトを立ち上げても、全ては組織運営であり、政治的・文化的・戦略的な側面を持つものです。活動そのものは、ある人や仲間のやる気から始まり、向上心につながり、終いには皆がそれを実現したいと思っています。しかし、活動の90%がネガティブなビジョンになっており、危機をあおるようなものばかりなのです。本来の目的を達成するためには人のやる気を高めるように考えていく必要があります。デミングは「同じシステムの中でマネジメントと創造性をつなげていくことが重要である」と述べています。
 このことを実現するためには教育システムから見直していかなければならないのではないでしょうか。2~3歳の子供にとって、学習は生活そのものです。しかし、それを過ぎ学校に行くようになると学習は、先生を喜ばせることが目的になってしまっています。学校で良い成績をとるためには、先生に認められなければならない、先生の考えるとおりに行動する子が認められ、良い成績をとることになります。
 工業化社会はそれでよかった。工場では、標準化された製造ラインの中でいかに生産性を高め、工場長や社長に喜ばれるように振舞うかを考える社員が必要だったのです。学校で先生を喜ばせることに長けた学生は、工場でよい働き手となり、それが工業化社会のDNAとなりました。言い換えると学校が工場をサポートしていたのです。しかし、人間というのはそのようにして生まれてきたのではありません。そうした時代は、マネジメントはコントロールすることでした。標準化し、統一化し、階層を作り管理を行う方法が、ほぼ学校での教えとほぼ同じだったのです。
 今普及しているマネジメントシステムには、そうした管理の発展として測定によってマネジメントすることが重視されています。測定によって見える部分があることは否定しませんが、大事なのは、見えていない部分です。マネージャーはその見えない部分をいかに見てあげるかが肝心なのです。
また、文化を基盤としたコンプライアンスというものがあります。人は一人でルールを破ることよりも、誰もがルールを破っているような環境に染まっていくのです。いくらルールを作ってもそれを無視しても平気な風土ではコンプライアンスは遵守できません。風土作りには経営幹部や上級幹部の社員からの信頼の獲得が必要になります。
 グローバルシステムの中では、大きなインフラが変化している。一つは食料と水の問題です。これは温暖化の話ではないが、アメリカに食料が来るまでに2000マイルもかけていることをもっとよく考えるべきです。エネルギーの問題も深刻です。
これも技術の問題ではなく、人の問題です。また材(ヒト、モノ)に関する問題です。平均単価は50年間下がり続けています。将来、何をどうすることで生き残っていくのか、の視点が不足しています。中でも、信頼関係を構築することが最も重要なことになります。リソースを合わせて、自然を重視し、人を大事にし、社会を大事にする感覚に人々の思いはシフトしてきているのです。

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