新たな価値はPDCAでは生まれない

引き続き日本経営品質賞報告会の話題

今回、報告会でメッセージとして伝えたかったことは、
経営品質に望む姿勢でした。

経営品質を活用して自らの経営を振り返るためには、
自らの価値を明確にする必要があるということです。

どのような独自性のある価値を提供したいのか、という構想
のもと、そのビジネスモデルを実現していくための経営システム
としてどうなっているのかを振り返る形で考えないと
経営品質でアセスメントする意味がないということです。

単に業界で同じような価値について提供しようと
いう程度であれば、PDCAの回し方の問題ですから、
ISOにチャンレンジすれば十分ではないかと思います。

多くの会社が、組織プロフィールでの
経営の構想の描き方そのものが要求にそっていません。つまり
経営を考え抜いていないのです。

理想の姿を描くとき、4つの視点から描くということを要求しているのですが
そこでは、どのような新たな価値を実現したいのかを明確に記述すべきです。
そして、なぜそのような思いに至ったのか、そこにいたるプロセスを
記述すべきです。

そして、それを実現するという視点から、
顧客認識、競争認識、経営資源認識を記述すべきなのに
現状分析を行うという説明になってしまっているため、
新たな価値を実現するために、誰を顧客とするのかという点が深く考えられて
おらず、既存の顧客の紹介に終わっています。

このため、新しい価値をどう産もうとしているのか
といった構想のないまま、PDCAをきちんとやれば新しい価値が生まれるといった
誤解の基に経営品質を進めている企業があり、かわいそうでなりません。

新しい価値を生むということはイノベーションです。
イノベーションを産むには、
それを構想し、それを産むことのできる風土や環境を整えることが
重要なのです。PDCAをまじめにやればやるほど、この環境からは逸脱します。
イノベーションが生まれない組織になる危険性があるのです。

正直言ってこういうことをまじめに議論できる場が、報告会にないのが残念です。
別途、そういう場を作っていかなければ、などと考えています。

コメント

人気の投稿