経営品質を意識した経営デザインのまとめ方1

経営デザインは主に次のステップでまとめる。

1.組織の歴史から組織の目的・使命・価値感を明らかにする
2.4つの視点から望ましい姿を明らかにする
3.3C分析の実施
4.環境変化・未来の見通し
5.中長期の視点でありたい姿
6.その実現のための課題

を明確にすることである。

このステップはいくつかのロジックから成り立っている。

一つ目は、問題発見プロセスとして、理想と現実を明確にし、そこから課題を考えること
である。通常行われるプロセスであるが、ここで重要なのは現実を客観的に冷静に理解するということである。通常、その差をギャップと呼び、ギャップを課題とするのが定石である。一方、ピーターセンゲの「学習する組織」では、ロバートフリッツのクリエイティブテンションが紹介されている。ビジョンと現実の乖離はエネルギー源であるという考えである。単なるギャップや乖離とみるのではなく、そこにはエネルギーが生まれるということを理解し、課題を明確にすることが求められる。

二つ目は、3C分析である。Customer(顧客・市場)分析、Competitior(競合)分析、Company(経営資源)分析の三つから現実を整理することである。

Customer分析は、マーケティングのSTPの検討が求められる。市場をこれからの医療のあり方や今後のニーズの変化など特定の軸で分け(S=セグメンテーション)、その中のどこを狙い(T=ターゲティング)、地域や顧客からどう想定されるか(P=ポジショニング)を考えることである。医療の急性期であれば二次医療圏の中で、高度急性期で行くのか、特定の医療や手法で抜きん出るのか、満遍なく標準的な医療を身近で提供するのか、救急に特徴を持たせるのかなど、ビジョンを実現するための戦略のベースを検討する。

Competitor分析は、他と比較してどれくらい優れたサービスを提供しているのかを確認するものである。独自能力として目指す領域は、他と比較して、顧客・市場・地域・社会から見てどこがどう優れているのか、どこがどう劣っているのかを確認する。
顧客が評価する軸をベースに、それぞれの点でどの程度優れているのか、完璧な情報はない中でも、多様なメンバーから安全な場で議論する事で見える化することが重要である。
その状況の中で、何をどう伸ばして行くのか、それは具体的に何をすることが必要なのかを検討することができる。
これまでの軸と同じ、つまり他も同じ軸で見ており、競争することを、レッドオーシャン、新たな軸を開発することをブルーオーシャンとよび、競争のあり方の違いを示したのは、チャンキムである。
病院によっては競争と共創を意識し、お互いの低いところを補う形で、限られた医療資源で地域医療を支えようとしている。その場合でも互いの強み、弱みを見える化しておかないと、総論賛成、各論反対を招くことにならないか。

Company分析は、自らの資源・リソースの分析である。市場でのニーズに他よりも高く対応できるための資源・リソースは何か、どのような資源・リソースが他にはない独特のものなのかを考える。医療技術、特定の医師の能力、医局との関係、装置、AIを含めたICT技術能力に加えて、組織能力などもここに含まれる。文化(顧客志向、収益意識、専門性思考などなど)や育成の仕方、ものの見方・考え方・行動の仕方など他にまねのできない領域を考える。
さらにその強みの源泉が、変化によって弱まる、あるいは意味がなくなる危険はないのか、これからのために強化しなければならないところは何かを考える。

3C分析はこのように戦略検討のオーソドックスなやり方である。





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