好かれワケ 嫌われるワケ(第一回)

今回から、このコラムを担当することになった。コラムのテーマを検討する際、経営品質を軸にというお話をいただいたが、表現としては、経営について書きたいとお願いをした。経営品質は経営そのものをテーマとしているはずであるが、受け止める方の中には、経営の中に経営品質というジャンルがあるといった考えがあるようだからだ。
 経営とは何であろうか、様々な定義があるようだが、ここでは「組織が望む、望まれる成果を出し続けることである」と考えたい。成果を出し続けるには、自らも変化していかなければならない、というのは簡単である。しかし、不易流行ではないが、何を変え、何を変えてはいけないのかを考えるのは非常に難しい。過去を振り返って、あのようにすればよかったと考えるのではなく、先を考え、何をどの程度変えていくことが重要であるのか、経営者は絶えず、自らに問い、行動しているはずである。
 そこで、このコラムでは、経営者が考えなければならないテーマを取り上げ、複合的観点から検討を試みたい。複合的に見ることで、変えるべき点を見出したり、あるいは変えてはならない点を検討できるからである。経営は思考と実行の産物である。このコラムではその思考のきっかけを提供できればと考えている。
 そのためコラムのタイトルを「好かれるワケ、嫌われるワケ」とした。あること、ある人、ある企業を好む人もいれば、好まない人もいる。そこには立ち位置が違うこと、視点が違うことが多い。あるテーマを基に、対比する視点を提供したり、あえて異なった視点を提供することを試みたい。それは読者にとって必ずしも、好ましい考え方ではないかもしれない。しかし、そういう考えを好む部下が組織の中にいるかもしれない、あるいはそういう考えが一定の理解を得る時代が来るかも知れないと思って経営を行えば、より深い思考の中で意思決定ができるはずである。
 経営者が考えるべきテーマとしては、学際的に抽出して行きたい。直接経営を対象とした書籍でなく、広く社会や科学を洞察している書籍などを参考に、そこで出されているメッセージを経営に当てはめて考えながら、今の現象をどう捉えていくのか、という議論を重ねる予定である。読者はそのメッセージだけをお読みいただいても価値があるようなものにしていきたい。
 当然、洞察は筆者の経験などから来るものであるので、大企業や中小企業、病院、学校、行政などコンサルティングの現場で感じたこと、トップへのサポートや対話を通じて学習したこと、大手企業に属していたことの経験など個人の経験から来るものになる。そうした前提をご理解いただいたうえで、おつきあい願えれば幸いである。
(このコラムは生産性新聞に連載していたものを掲載しています)

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