あきらめないで夢を実現する

 カールステッドは、「変革の大きな原動力には経済と政治のふたつがある」という理由のもと、大手自動者メーカーの参画がカギを握るとも考えた。ところが、働きかけを行うと、判で押したように否定的な反応が返ってきた。それでも、彼はひるまなかった。そしてしだいに、興味を持ってくれる人がいないのではなく、そういう人をいまだに見つけられずにいるのが問題なのだと気づいた。「自分たちと同じ考えの人を探し当てなくてはなりません。企業はおおぜいの個人により成り立っていますから、幸運にも自分と同じ考え方の人々を見つけたなら、その人たちと手を携え、支援をするのです。変革はこうして前に進んでいくのです。」

 カールステッドは、「見る」ことをとおして壮大な何かがつかみ取れるのだと気づいていた。一部には、現在と異なる未来をいとも容易に思い描ける人もいるが、大多数の人は具体的な何かヒントに抽象概念の理解を深めるものであり、この逆はほとんど起きない。


 USGBCのメンバーは「大切なのはみんなの情熱をひきつけておくことだ」という討論の第一原則を学んでいた。参加者たちの一体感を保ち、「自分は仲間はずれだ」と誰にも感じさせないように気を配りながら、それぞれの見方とそれにまつわる思いを紹介するのだ。これを実践すると、ひとりひとりを尊重する大切さが浮き彫りになるほか、考え方の違いが狭まり、互いに影響を及ぼしはじめるため、少しずつ前進への勢いが増していく。

(ピーター・センゲ他「持続可能な未来へ」)

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